わが国では多くの医師が、それぞれの深い専門性を有した上で自ら研鑽を積み、幅広い視野の下に患者さんと地域に寄り添うかかりつけ医として日々診療に当たっています。そして、専門性、診療の領域、診療の場を超えたかかりつけ医の役割が、患者さんのさまざまなニーズに合致し、わが国の医療制度を支える大きな柱になっていると考えています。
平成28年4月からスタートした「日医かかりつけ医機能研修制度」は、こうしたかかりつけ医の役割、つまり、かかりつけ医機能を充実・強化することに主眼を置いた研修制度として創設しました。
一方、今後、新たな専門医制度の一環として総合診療専門医の養成が開始されることもあり、地域医療を担う先生方からは、かかりつけ医と総合診療専門医の関係について、不安の声が上がっていることも事実です。
日医としては、総合診療専門医は、あくまで学問的な位置付けであり、将来、総合診療専門医の資格を持った先生方も、地域医療を実践する際には本研修制度を受講して頂きたいと考えています。
かかりつけ医は、専門医制度全てを包含した幅広い概念です。そのため、かかりつけ医は資格制度とは別の概念として、日医がその育成や質の向上に取り組み、先生方からの不安の声に対しては、このようなかかりつけ医機能の強化を進めていく中で解消していくことが必要であると考えています。